hybrid arts
複合表現
複合表現、複合芸術表現、複合的表現、複合系表現、等々、様々な言い回しがありますが、何れも複数の領域を組み合わせて生み出す新しい表現を意味し、単語上の僅かな違いは、それぞれに付加されている文字から推察する事が出来ます。

本ホームページでは、私自身の活動の中心になっている、音楽を核とした複合表現に付いて、作品の紹介と、過去の経験等を元にした解説をしています。

カナダのカーディフとミラーによる作品「小さな部屋のためのオペラ」は、美術館のホワイトキューブに設置された展示空間で繰り広げられる、ドラマともオペラとも言えるような作品ですが、自動で動くプレーヤー等で住人がオペラを楽しむ状況を表現しているかと思うと、突如、頭上を長大な列車が通る情景を迫力のある多チャンネル音響で聞かされます。そして、その空間がガード下にある事が分かった時、非情に切ない、空虚な感情に見舞われてしまう作品で、音楽系の我々には衝撃的な作品と言えます。彼らの作品には、他にも内面に突き刺さるような素敵な作品が多いので、チャンスがあれば一度ご覧になられることをお勧めします。
上の二枚の写真はインスタレーションとして展示された作品で、映像やアクチュエータ等のテクノロジーと音楽等が融合された作品で、美術館で展示されていますが、音楽が重要な要素であり、公演としての性格も強い作品になっています。

これらの作品のように、様々な領域の表現が複合的に融合して一つの作品として成立していますので、音楽だけを切り取ったり、映像だけを抜き出したりしても、作品として成立しないものになっています。
異なる要素を持ったAとBを掛け合わせてCが出来た時、CからはAやBに戻せないハイブリッドのように、異なる領域の表現を掛け合わせて、それらを分離した時に作品として成立しなくなるようなものを、アート分野においても、ハイブリッド・アートと言いますが、アルス・エレクトロニカでは、そこに、テクノロジーが介在していることを前提にしているようです。
こうしたことから、研究者では無い者が作成している当ページでは、言葉の定義に付いては言及せずに出来るだけ緩く考え、複数の領域を組み合わせて生み出される新しい表現を、複合表現またはハイブリッド・アートとして扱わせていただきますのでご了承下さい。